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黒田恵司医師|杉山産婦人科丸の内 院長①:「産婦人科は天職だと思う」〜何度経験しても感動する出産という神秘〜

2023年1月、杉山産婦人科 丸の内に新しい院長が就任した。女性からだ情報局の編集委員も務めてくださっている、黒田恵司先生だ。

世界でも最大級の駅の1つである東京駅の目の前という立地で、周辺で働くカップルのみならず、東京以外の地域からも不妊治療に訪れる人が絶えないこのクリニックで、黒田医師はどんなことを思い、生殖医療に取り組んでいるのか。高い実績を残してきた生殖医療に取り組む真摯な姿勢と、話すとわかるその裏にある情熱。その人柄に迫った。(全2回の前編)

CONTENTS
  1. どんなに忙しくても、出産の瞬間にはいつも感動する
  2. 治療と並行して、正しい医療情報を発信していきたい
  3. 間違った情報を信じている患者は、倍の労力がかかる

どんなに忙しくても、出産の瞬間にはいつも感動する

黒田先生が「医師」という職業、そして「産婦人科」を選ばれたのはなぜですか?

僕がドクターになった話はあまり面白くないですよ(笑)。父が内科医だったので、その影響で医者になったという、それだけです。

父は研究なんかもしていたので、そういう姿を見ていて面白そうだなと思ったし、人を助けるのは良いなと思っていて。なので医師になろうと決めた時期も曖昧ですね。

 

でも、産婦人科に進もうと思った瞬間は明確に覚えています。大学5年の授業ですね。

医学部の授業の一環で、患者さんの同意を得てお産を直接見学させてもらえる機会があるんです。出産を見学した医学生の感想は「気持ち悪い」というのと「感動した」というのがいつも半々くらいらしいんですが、僕はもう完全に後者でした。

 

子どもが産まれてくる瞬間を見たときに、本当に泣きそうになるくらい感動して「この仕事しかない!」と思ったんです。
当時は産婦人科医が訴えられたりとか色々と問題があった時期で、父にもものすごく反対されました。それでも、これだけ感動できるような職場は他にないと思ったので、産婦人科に進むことにしました。

 

 

産婦人科の中でも不妊治療(生殖医療)に進まれたのはなぜでしょう?

とある不妊治療の病院に勤務したことがきっかけですね。当時は体外受精もまだそんなに多くの病院がやっていなかった頃でした。初めて目の前で顕微授精を見せてもらったとき、「TVで見たやつだ」と思ったのを覚えています。

 

その治療で妊娠した人が泣いて感謝しているのを見たとき、妊娠をサポートする生殖医療も良いなと思ったんです。それで生殖医療を学ぶことにしました。

でも、大学を離れて今はあまりやっていないですが、大学にいた頃はお産もずっとやっていました。思い返すと研修医時代のめちゃくちゃ忙しい時でも、お産にはずっと感動していた。当直で本当に忙しくて死にそうな日でも、お産だけは何だか嫌じゃなくて。この分野で生きていくことが、もう天職なんだと思っています。

 

 

治療と並行して、正しい医療情報を発信していきたい

先生は難治性不妊など、難しいケースも日々目の当たりにされていると思うんですが、今日まで続けられてきているのはどんなことがモチベーションになっているんですか?

なかなか妊娠しなかった方が、自分の治療で妊娠することができて、出産後に子どもの写真を送ってくれたりするときは、やっぱりとてもうれしいです。だから続けられているんだと思います。
でも、僕は本来ずっと考えていることがあって。

 

不妊治療は目の前の患者さんを妊娠までサポートすることができますが、基礎研究や正しい情報発信の方が、間接的だとしても、世界中で少子化を改善したり、子どもを1人でも増やすことに寄与できるんじゃないかと。

1人ひとり直接増やすことはできなくても、自分がやっている成果を発信したことで、誰か他の人が同じ手法に取り組んでくれたら、もしかしたら他の原因でもうまくいくかも知れない。そういう意味で治療だけじゃなく情報発信もとても大切だなと感じています。

 

 

不妊治療は徐々に社会的な注目を集めるようになってきていると思いますが、どんなことを今感じていらっしゃいますか?

注目を集めている中だからこそ、「情報のありかた」がとても大切だなと感じています。
日々の一般的な医療って地域に密着した診療であることが多いですが、不妊治療は自由診療の期間が長かったので、患者さんを呼び込むために“間違った情報”や“自分たちに有利な医療情報”をどんと出して、あたかもそれが中心かのように宣伝しているクリニックなんかもあります。

不妊治療や妊娠・出産に関わる企業でも、自分たちの商品を買ってもらったり検査をやってもらうために、現在では否定的な論文がいくつも出ているような古い情報で、誤った治療に誘導しているようなところもあります。その医療情報が正しいのかは、一般の方々はもちろん医療従事者でさえ、専門性を持って日々きちんと情報を追いかけていないと見極められない。だから「社会に情報が正しく伝わるようにする」というのはとても大切なポイントだと思っています。

 

黒田医師が院長を務める杉山産婦人科 丸の内

 

間違った情報を信じている患者は、倍の労力がかかる

多くの人は専門家としての「お医者さん」をひとくくりに見ていますから、意図的に誤った情報発信をしている人がいるなんて疑いもしないですよね。

我々医療従事者側も、正しい情報発信をするというのはとても大切だと思っています。
僕もずっと取り組んではいますが、やっぱり広告のような表現の質と量で世の中に発信する訳じゃないですし、届いて欲しいなと思っている人たちにあまり届かないんです。

なので、患者さん側でも医師や医療情報を見極められるように、基礎的な医療リテラシーを上げたり、正しい情報がきちんと得られる仕組みを作っていくという取り組みをしていきたいと思っています。

 

 

普段診察していらっしゃる患者さんの中には、精度の低い医療関連の情報を信じて来る人もいると思うのですが、どんなトラブルがありますか?

これ、けっこう骨が折れるんです。
患者さんが間違った情報を“信じている”ところからスタートするので、まずは「これは最新の医学では間違った治療です」というふうに否定して、そこから改めて、これからの治療について説明することになります。倍の労力がかかります。

患者さんが怪しい広告や個人のブログなどの間違った情報を信じているケースは結構あって、「毎回同じ話してるな」を思うこともあります。商売のために間違った情報を発信しているクリニックや企業に責任をとってほしいくらいです。

 

いちばん信頼できる情報は英語で書かれた論文や学会にありますが、一般の方向けにわかりやすく説明する機会やリソースは限られています。だから「女性からだ情報局」のように、信頼できる医療の内容を医師が監修し、表現の専門家がわかりやすくした情報を集積していくことはとても大切だと思うんです。

 

 

医療は情報の取り扱いが難しい分野ですから、医療界と一般社会がうまく接続されていないところも多いですよね。社会への医療情報の発信について、手法の面から気にかけている点などはありますか?

基本は、目の前にいる患者さんに1人1人丁寧に説明していく以外に、なかなか方法は無いですよね。自身で調べて発信しているインフルエンサーもいますが、専門家でない場合もあります。やっぱり本来は正しい知識を持っていて、正しく動いている専門性の高い医療従事者が中心になって動くべきだとは思います。

 

 

不妊治療最前線での忙しい診療と並行して、学会に参加されたり、書籍を執筆されたりと、幅広く活躍される黒田恵司医師。その忙しい日々の中で、女性からだ情報局の編集委員を引き受けてくださるなど、「正しい医療情報の発信」にも精力的に取り組まれている。

今年1月からは「院長」という役割も加わり、ますます忙しくなられるだろうと思う一方で、相手が我々であっても、患者さんであっても、優しく丁寧に対応してくださるのが印象的だ。黒田医師背中を見て育つ後輩の医療従事者の方々や、医師や生殖医療専門医を目指す若者も日に日に増えていることだろう。

 

後編では、いま不妊治療の現場で黒田医師が何を思うのか、改めて語ってもらった。

 

【この先生が勤務しているクリニックを見る】

杉山産婦人科 丸の内

 

【この先生の著書を見る】

「データから考える不妊症・不育症治療」メジカルビュー社

▷「Treatment Strategy for Unexplained Infertility and Recurrent Miscarriage(原因不明不妊症・不育症の治療戦略)」Springer社

監修者

黒田 恵司(くろだ けいじ)

杉山産婦人科 丸の内 院長
順天堂大学産婦人科学講座 非常勤講師

専攻領域:不妊症、不育症、内視鏡手術(腹腔鏡、子宮鏡) 専門医:日本産科婦人科学会 産科婦人科専門医、日本生殖医学会 生殖医専門医 認定医:日本産科婦人科内視鏡学会 産科婦人科内視鏡技術認定医、日本不育症学会 不育症認定医 著書: 『データから考える不妊症・不育症治療』メジカルビュー社、『Treatment Strategy for Unexplained Infertility and Recurrent Miscarriage』Springer社など

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