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【エキスパートを見分けよう】不妊治療で耳にする「生殖医療専門医」ってなに?

「不妊治療を受けたい」と思っていても、どこのクリニックに行けばいいか、医師の腕にちがいはあるのかなど、次々と疑問が浮かんで踏み出せない方もいるはず。これからの未来に関わる大切な治療は、技術の高い医師を探したいですよね。

そこで知っておきたい存在が、不妊治療のエキスパート「生殖医療専門医」。生殖医療専門医について、慶應義塾大学名誉教授で元日本産科婦人科学会理事長の吉村泰典医師に聞きました。どんな医師なのかを知って、エキスパートがいるクリニックを選びましょう。

不妊治療のエキスパート「生殖医療専門医」ってなに?

 

そもそも「生殖医療」とはなんですか?

 

生殖医療は医学用語で「生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)」と呼び、近年技術が進歩した新たな不妊治療法のことを意味します。「タイミング法」や「人工授精」など一般的な不妊治療のあと、ステップアップが必要な場合に行われる治療です。一般的には総称して「不妊治療」と呼ばれています。

 

生殖補助医療は主に、以下の3つの治療です。(*1)

 

(1)体外受精・胚移植(IVF-ET)

採卵した卵子を体外に取り出し、精子と一緒にさせて(媒精)精子が卵子の中に自ら入るのを待ちます。受精卵となったあとは数日培養させ、子宮に移植する(胚移植)治療法です。

 

(2)顕微授精(卵細胞質内精子注入法、ICSI)

精子の数が少ない・運動率が低いなどの男性不妊や、卵子の受精障害などがあって体外受精では受精が難しい場合には、細い針を用いて卵子の中に精子を人工的に入れて受精させる治療法です。

 

(3)凍結胚・融解移植

体外受精を行ったときにできた胚を凍らせてとっておき、その胚を溶かして移植させる方法です。身体に負担のかかる採卵を避けながら、効率的に妊娠のチャンスが増やせます。

 

これらの生殖補助医療には高い技術がいるため、人工授精までしか行っていないクリニックも多いです。

 

 

不妊治療には専門医がいるんですか?

 

はい、そうなんです。生殖補助医療の学術の発展と、福祉に貢献することを目的に活動している「一般社団法人日本生殖医学会」が定めた資格で、2006年に認定された「生殖医療専門医」が専門医といえます。(*2)

 

生殖補助医療についての広い知識と磨き上げられた高い技能を持つ医師を増やし、生涯にわたる研修を推進することによって、生殖補助医療の水準を高めることを目的としています。いわゆる、不妊治療の分野における「エキスパート」です。

 

さらに、生殖医療専門医として実績や経験を積み、さまざまな条件を満たすことで、さらなるエキスパートとして「生殖医療指導医」に認定されます。

 

生殖補助医療は近年になって急速に発展した分野で歴史が浅く、さらに高度な技術や知識がいることもあり、2022年4月1日の時点で生殖医療専門医に認定されている医師は全国で991名、そのうち生殖医療指導医は263名しかいません。(*3)

 

そのため「エキスパートに治療をしてもらいたい」と思ったときには、「生殖医療専門医」や「生殖医療指導医」が在籍しているかどうかが医療機関を見分けるうえで大事なポイントとなります。

 

 

不妊治療の専門医になるための厳しい基準

 

不妊治療のエキスパートである「生殖医療専門医」はどんな知識を持っているんですか?

 

「生殖医療専門医」の資格を取得するまでに、以下のような多くの関門をくぐり抜ける必要があります。(*2)

 

生殖医療専門医の資格を受ける条件

生殖医療専門医を受けるためには、日本産科婦人科学会もしくは日本専門医機構が認定する「産婦人科専門医」の資格、日本泌尿器科学会もしくは日本専門医機構が認定する「泌尿器科専門医」の資格を取得しておくことが必須です。この資格を取るためには、最低でも3年間その分野について、指定された病院で経験を積む必要があります。

さらに、一般社団法人日本生殖医学会での2 年以上の会員歴を持っていることにくわえ、講演会に出席することや、講習会を受講して決められた単位を取得する必要もあります。さらに、日本生殖医学会が認定する研修施設で実習を受講すること、講演会で発表を行うこと、査読付きの医学雑誌に論文を発表し、経験した症例のレポートを提出することなど、常に知識や技術を磨いておくことが求められています

 

ここまで多くの経験を積んでようやく認定となる生殖医療専門医ですが、年に一回、筆記試験と口頭試験などを行う審査があります。生殖医療専門医には、常に知識をブラッシュアップして経験を積むことが求められているのです。

 

生殖医療専門医の資格更新について

また、生殖医療専門医の資格は一度取得すればずっと続くものではなく、有効期限があります。認定された日から5年間は有効となり、5年ごとに更新することが可能です。更新するためには、学会や講習会への参加や論文の発表など、様々な条件を満たす必要があります。

 

このように、専門医として経験を積むことはもちろん、研究医としても常に知識を磨く姿勢が求められているようです。そのため、生殖医療専門医の資格を更新するほどに生殖補助医療についての深い知識が身に付いているといえます。生殖医療専門医としての経験が長い医師は、それだけ多くの実績を積み重ねているといえるでしょう。

 

生殖医療指導医に認定されるには?

これらの厳しい基準をすべてクリアすることで生殖医療専門医に認定されますが、生殖医療専門医を目指す医師に指導を行う「生殖医療指導医」に認定されるためには、さらに以下のような条件をすべて満たす必要があります。

 

・条件1

生殖医療専門医資格の更新を1回以上行っていて、生殖医療指導医に申請する時点で日本生殖医学会に認定された研修施設または研修連携施設で常勤の生殖医療専門医として生殖医療に携わっていること

 

・条件2

日本生殖医学会が定める「生殖医療専門医到達目標」を参考に、生殖医療専門医に認定されるための研修カリキュラムの作成と、研修の指導を行うことができること

 

また、生殖医療専門医のときと同様に、生殖医療指導医に認定された後も年1回の審査が実施されます。更に、生殖医療指導医資格は、生殖医療専門医と同じく認定された日から5年間有効で、5年ごとに更新が可能です。

 

上記の条件から分かる通り、生殖医療指導医は、生殖医療専門医よりもさらに高い技術と知識が必要になるのです。

 

また、生殖医療に携わり続けていないと、生殖医療専門医と生殖医療指導医の資格は喪失してしまいます。

 

これだけ厳しい基準がある生殖医療専門医と生殖医療指導医ですが、その分、治療を受ける私たちにとっては安心感と信頼につながります。

  

不妊治療は専門医のいる医療機関を選ぼう!

 

不妊治療を受けるときにはやはり生殖医療専門医が在籍している医療機関を選ぶべきなのでしょうか

 

不妊治療を受けるときには、その分野のエキスパートである「生殖医療専門医」が在籍しているかどうかは、信頼できる医療機関か、技術のある医師かどうかを見分ける大きなポイントになります。

 

日本生殖医学会では生殖医療専門医の認定者を一覧で公表しています

http://www.jsrm.or.jp/qualification/specialist_list.html)。

これらもぜひ参考にしてみてください。

 

不妊治療は、カップルの未来を決める大切で大きな一歩。だからこそ、クリニック選びは慎重に行いたいですよね。しかし、医療機関のホームページを見ているだけでは、信頼できる医師や技術の高い医師を見分けるのはなかなか難しいと思います。

 

「技術のある医療機関で不妊治療を受けたい」と望んでいる方は、今回ご紹介した「生殖医療専門医」が在籍しているか、自分にぴったりと合うクリニックを探してみてください。

監修者

吉村 泰典(よしむら やすのり)

一般社団法人吉村やすのり生命の環境研究所 主宰
慶應義塾大学名誉教授
福島県立医科大学副学長
新百合ヶ丘総合病院名誉院長

1975年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学名誉教授、福島県立医科大学副学長、新百合ヶ丘総合病院名誉院長。日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、日本産科婦人科内視鏡学会の理事長を歴任。2013年から第2次~第4次安倍内閣で、少子化対策・子育て支援担当の内閣官房参与を務める(2020年まで)。「一般社団法人 吉村やすのり生命の環境研究所」を主宰。

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