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不妊治療まとめ①:不妊治療の種類とそれぞれの内容

妊娠を望む方の中には、自分やパートナーが「もしかして不妊かも?」と感じても、どこに相談したらいいのかわからず悩んでしまっている方もいるのではないでしょうか。「不妊治療」という言葉は知っていても、治療内容がわからないと、なかなか一歩を踏み出せないもの。
そこで今回は、知っておきたい不妊治療の内容について、今回は、杉山産婦人科丸の内院長で、順天堂大学産婦人科学講座非常勤講師の黒田恵司医師にお話をお伺いして、不妊治療の種類とそれぞれの内容についてまとめました。

※「膣(ちつ)」の表記は、医学的には「腟」が正式な表記ですが、こちらの記事では読みやすさを優先してより一般的な「膣」を使用しています。

不妊治療の種類①:どんな種類の治療があるの?

まず「不妊治療」とは、妊娠を希望する健康な男女が避妊をせず性生活を続け、一定期間を過ぎても妊娠しない場合に行う治療のことです。*1

 

不妊治療にはいくつかの方法があり、はじめに検査をして不妊の原因を探ったうえで、それぞれの原因に応じた最適な治療法を選んで進めていきます。
不妊治療にはタイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精、顕微受精など様々な方法があります。

このうち、タイミング法、排卵誘発法、人工授精のことを「一般不妊治療」、体外受精と顕微受精を「生殖補助医療(英:assisted reproductive technology:ART)」といいます。

 

 

ARTが始まった1980年代は、生殖補助医療は大学病院や大病院のような、一部の医療機関でしか受けられませんでした。しかし、現在では全国の病院やART専門クリニックで治療が受けられるようになりました。

 

 

不妊治療の種類②:それぞれどんな治療なの?

不妊症の治療では、これら「一般不妊治療」と「生殖補助医療」の他に、不妊の原因となる病気を取り除くために「内視鏡手術(子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡)」が行われるケースもあります。
その方の不妊の原因に応じて、これらの中から最適な方法を選んで治療を進めていきます。
それぞれの治療法について見てみましょう。

 

タイミング法

タイミング法は、女性の身体を検査し、それぞれの方のバイオリズムをはかることで排卵日を予測して、カップルでの性交のタイミングを合わせる治療です。

自然妊娠しやすい性交渉のタイミングは、排卵日の2日前から排卵日までと言われています。

排卵日を予測するために、はじめに排卵予定日より前に経腟超音波検査で卵巣内の卵胞(卵子が入っている袋)の大きさを測定します。一般的には、卵胞の直径が20mmくらいになると排卵するといわれているため、この計測値を基準にして排卵日を推定します。

また、検査の補助として尿中や血中の排卵を促す黄体化ホルモン(LH)の値を測定して補助的に排卵日を予測することもできます。

 

 

排卵誘発法

排卵誘発剤と呼ばれる飲み薬や注射薬によって、卵巣を刺激して排卵を促すのが排卵誘発法です。

タイミング法などで妊娠せずに治療をステップアップする場合や、不妊の原因が不明な場合、排卵障害がある場合、さらに人工授精や生殖補助医療を行うときに、この治療が行われます。
排卵誘発剤にはいくつか種類がありますが、排卵障害の程度等をもとに、排卵誘発剤を選択します。

 

 

人工授精

人工授精を行うケースは主に、男性の精子の量が少ない・濃度が低い・運動能力が低い、マスターペーションができても性交ができない性交障害など、不妊の原因が男性にある場合と、精液所見が正常なのにヒューナー検査で異常があり、子宮頸管で精子が子宮内に入ることができていない場合です。
人工授精は、採取した精液から最も運動能力が高く、成熟した精子を選んで回収し、女性の排卵の時期にあわせて細いチューブで卵管の入り口まで精子を注入することで、人工的に妊娠を促します。

 

 

内視鏡手術

この治療法は、不妊の原因が手術で対応できる場合にのみ行います。

内視鏡手術には、主に子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡があります。子宮鏡と卵管鏡は腟から内視鏡を入れて行う治療で、腹腔鏡手術 はおへその下を少し切って内視鏡を入れて検査を行います。
子宮鏡手術では、内視鏡で子宮内腔の様子を観察することで、妊娠の妨げになるような子宮内の腫瘍(ポリープや子宮筋腫)を切除することができます。
卵管鏡手術では、塞がってしまっている卵管(卵子と精子の通り道)にチューブを通して開通させることで、そのあと自然妊娠する可能性を高めることができる手術です。
腹腔鏡手術では、腹部に小さい穴を開け、そこに手術に必要な器材をいれて行う手術です。お腹をメスで開ける手術(開腹手術)と比べ、傷跡が小さく、術後の回復が早いというメリットがあります。

 

 

生殖補助医療(ART)

ARTは、他の治療によって妊娠しない場合や、卵子と精子が自然に受精できない場合に行われる治療です。ARTには「採卵」「体外受精(IVF)・ 顕微授精」「胚移植」「胚凍結保存」 などがあります。

 

・採卵

腟から超音波の器具を入れて卵巣の様子を見ながら、卵巣の発育した卵胞に針を刺して卵子を取り出すことを、採卵といいます。

 

・体外受精(IVF)・顕微授精

体外受精では、採卵した卵子をシャーレに置き、そこに精子を振りかけて受精させます。一方顕微授精は、顕微鏡で拡大して見ながら、針で卵子の中に直接精子を送り込んで受精させます。

 

 

顕微授精は、主に男性不妊で重度の乏精子症や精子無力症の場合に行われ、標準的な体外受精で受精が成立しない受精障害も適応になります。
いずれの場合も、体外で受精された受精卵(胚)を数日間培養します。

 

 

・胚移植

体外受精や顕微授精などで受精した受精卵を胚といいます。この胚を数日間培養した後、子宮内に移植することを胚移植といいます。

 

 

・凍結胚保存

標準的な体外受精や顕微授精を行ったときに、良好な受精卵が数多くとれることがありますが、それらを培養したあと胚を凍らせて保存しておくことができます。その胚を後から溶かして移植することで、身体に負担のかかる採卵周期での胚移植を避けて子宮を休ませながら効率的に妊娠のチャンスを増やせます。
さらに、胚を凍らせることによって、排卵誘発薬などが原因で起こる卵巣過剰刺激症候群の重症化をおさえることができ、着床しやすい内膜がつくられたタイミングで、胚を移植することができます。

 

 

不妊治療の種類:すべての治療が同じ医療機関で受けられる?

生殖補助医療(ART)では、受精したあとの受精卵を専用の培養液で胚盤胞という状態まで育てる技術が必要ですが、これを行うためには、医師と胚培養士の高度な技術が求められるだけでなく、卵や胚を培養するための設備も必要となってきます。そのため日本では人工授精までしか対応していない病院やクリニックが多いのが現状です。

 

 

また、これらの不妊治療は、「妊娠まで」をサポートする治療です。妊娠したあとから出産までのプロセスは、産婦人科・産科にバトンタッチされます。
女性からだ情報局では、妊活・不妊治療に関してどのように医療機関を選べば良いのか、についても情報を記事やデータベースにまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

実際に不妊治療を行う場合には、これらの治療を行う前に、まず原因を特定するための検査が行われることがほとんどです。では、その検査とはどのようなものなのでしょうか。
次の記事では、不妊治療を行う際の検査について詳しく見ていきます。

参考文献

  • (*1)参考文献 日本産科婦人科学会  不妊症

監修者

黒田 恵司(くろだ けいじ)

杉山産婦人科 丸の内 院長
順天堂大学産婦人科学講座 非常勤講師

専攻領域:不妊症、不育症、内視鏡手術(腹腔鏡、子宮鏡) 専門医:日本産科婦人科学会 産科婦人科専門医、日本生殖医学会 生殖医専門医 認定医:日本産科婦人科内視鏡学会 産科婦人科内視鏡技術認定医、日本不育症学会 不育症認定医 著書: 『データから考える不妊症・不育症治療』メジカルビュー社、『Treatment Strategy for Unexplained Infertility and Recurrent Miscarriage』Springer社など

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