不妊治療のクリニックを受診する前に、ご自身の体調や病歴についてまとめておくと良いことが多いです。すぐには用意できないこともあるため、余裕を持って準備することが大切ですね。
クリニック受診の時に何を聞かれるのか、 スムーズに診察を受けるために必要な準備はなにか、広尾レディースクリニック院長の宗田聡医師にお話を聞きました。
不妊治療クリニック受診前に、自分の体調について振り返ろう
冒頭で述べたとおり、不妊治療クリニックの受診前にはご自身の体調や病歴についてまとめておくとよいでしょう。
具体的には、生理の状態や妊娠・出産経験の有無、持病や服用している薬の有無、既往歴などです。とくに性感染症や子宮筋腫などの婦人科系の病気の既往歴がある方は、不妊になりやすい傾向があります。
こうした事柄をまとめておくことで、よりスムーズに診察を受けることができます。
① 生理の状態
生理の状態を伝えることで、不妊の原因となる病気や症状を見つけやすくなる可能性があります。たとえば、月経日数が長ければ子宮筋腫がある可能性がありますし、生理がなかなか来ない場合は排卵機能に異常があることもあるためです。
不妊治療の前にまとめておくべき生理の状態は、直近の生理開始日や、生理が来る間隔、月経日数と経血の量、初潮年齢などです。また、生理や性行為の際に痛みを伴う場合なども伝えましょう。
②妊娠・出産経験の有無
妊娠・出産経験の有無も、不妊治療の計画を立てるうえで重要な要素です。また、流産や人工妊娠中絶を経験したことがある方は、その旨も診察時に担当医に伝えてください。
③持病や服用している薬の有無
持病や服用している薬がある方は、お薬手帳を必ず診察に持っていきましょう。お薬手帳を持っていない方は、今処方されている薬をクリニックに持っていくことをお勧めします。病気や薬の種類によっては不妊治療および妊娠・出産に影響を与えることから、不妊治療が行えないケースもあるためです。とくに、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科系の病気、糖尿病などの生活習慣病、甲状腺機能異常などの基礎疾患、高血圧などの症状がある方は、クリニックを予約する際にその旨をスタッフに伝えてください。
また、他の不妊治療クリニックへの通院をしている方は、他院での治療が終了するまで、新たなクリニックでの受診ができないケースもあります。治療が終了していても、治療周期によっては治療をすぐに始められないこともあるため、受診を検討しているクリニックの予約時に、スタッフに相談してみるとよいでしょう。
④性感染症の既往歴
性感染症の既往歴がある場合は、かかった時期や行った治療を担当の医師に伝えてください。クラミジアや淋病などにかかると卵管が炎症を起こし、排卵機能に影響を及ぼし、妊娠しにくくなる可能性があるためです。(*1)
⑤治療内容についての要望や個人的な事情
治療内容についての要望があれば、初診時に担当医に伝えられるよう準備しておいてください。基本的な治療方針として、タイミング法を試してもうまくいかない場合は人工授精、次に体外受精とスモールステップで進んでいくクリニックがほとんどですが、女性の年齢や要望によっては、体外受精から始められるケースもあります。
また、仕事が忙しく、急に休みにくいなどの事情がある場合も伝えられるよう準備しておきましょう。できる範囲で考慮してもらえる可能性があります。
自分の体調について振り返る中で、生活習慣の見直しをはかり、妊娠しやすい身体づくりを意識しておくと、不妊治療がスムーズに進む可能性もあります。
妊娠しやすい生活習慣の一例としては、ストレスを溜めないようにすること、栄養バランスがとれた食事、規則正しい生活、十分な睡眠、禁煙などが挙げられますのでぜひ参考にしてくださいね。